『革』の起源
皆さんこんにちは!
Gypsy Leather Works のこうじです!
今も昔もたくさんの方々に愛されている『革』。
現代では、お財布やバッグ、靴やアクセサリー、ジャケットやパンツなどいろいろな形に姿を変えて、私たちのあらゆるライフスタイルに溶け込み、時代に馴染んでいます。
私たちのご先祖様たちが創意工夫し、進化、伝承してきた革製品には、いったいどんな歴史があるのでしょうか?
今回はそんな『革』の歴史に想いを馳せ、さらなる魅力を探ってみたいと思います。
人類と革の歴史
世界で人類が最初に革を使い出したのは、今からおよそ200万年前からだと言われています。
200万年前と言われてもなんだかピンときませんが、まだ日本という国すら存在せず、私たちの祖先である原始人がウホウホ生活していた、旧石器時代と呼ばれる時代です。
動物の骨や角から作られた骨角器(こっかくき)や、石を打ち砕き鋭利に加工して作られた打製石器を使い、狩猟や採集活動を行っていました。
その時代は、食料となるマンモスやナウマンゾウ、オーロックスなどの大型獣を捕まえたり、木の実や野草などを求め、絶えず移動するスタイルの生活でした。
さらにその当時、氷河期でありながら、火山も活発で頻繁に火山灰が降り注ぐというなんとも過酷な環境だったそうです。
気温は氷点下。
いつ野生動物が襲ってくるかも分からない中、すっ裸でキャンプをし、凍え死ぬかと思えばそこらで火山が爆発するという。
そんなワイルドな生活環境の中で生まれ紡がれていったたくさんの知恵。
寒さや衝撃から身を守るために動物の毛皮を服や靴として身にまとい、革を『道具』として扱い始めたのがこの頃でした。
このころのご先祖様には大きな悩みがありました。
それは、『獣から剥いだ毛皮は、そのままでは腐敗してしまうじゃん』ということ。
それから長い年月をかけて、動物の油を塗ってみたり、植物のエキスに漬け込んでみたり、たくさんのご先祖様方の好奇心と努力が実を結び、毛皮が腐敗してしまわないための『鞣し』(なめし)という技術が生まれました。
当時、知識も知恵も無い状態ですから、きっと無駄だと思えることや、失敗もたくさんたくさんしてきたことでしょう。
今、皆さんが嗜好品としてご愛用されている革製品には、たくさんの祖先の知恵と歳月が紡がれてた歴史があるということが分かります。
日本と革の歴史
旧石器時代から、長い長い年月がすぎ、日本という国ができました。
今から1000年以上前の飛鳥時代に、朝鮮大陸から渡来した職人によって日本に革の加工技術が伝えられたとされています。
この時代の革製品と言えば、毬や太鼓、楽器などに使われたり、祀りごとのお供え物や、献上物として扱われていたそうです。
当時の日本の中心は京都だったことから、日本で最初に利用されたのは鹿の革でした。
ジプシーレザーワークスでも、作品のアクセントに鹿の革で作られた革紐をよく使用していますが、鹿革というと、軽くて柔らかく、しなやかでありながらとても丈夫な素材です。
ちなみに、現代の革業界では牛革が最もポピュラーですが、牛革が使われ始めたのはもっと後の江戸時代頃だと言われています。
江戸時代には、強度を必要とする馬具、武具の需要が増えたことにより、牛革、馬革を多く使用するようになったようです。
以前、歴史のあるとある温泉宿に赴いた際、昔の武人が身に付けていたという鎧兜が飾られていました。
当時の職人さんが残した甲冑や鎧兜などの手仕事の細やかさ、今ほど便利な道具も無い時代に産み出された複雑な造りの革製品のクオリティに、心を動かされたのを覚えています。
そういう歴史的な面からも、現代で『日本のものづくり』が世界に高く評価されていることにも納得がいきます。
まとめ
今回は『人類』と『日本』の歴史にフォーカスして、革の進化に想いを馳せてみました。
昔と今とでは、生活様式も生活環境もまるで違うからこそ、革の使い方、道具としての可能性の幅が広がり人類とともに大きな進化を遂げてきたのだと思います。
こうして考えてみると、いろんな偶然や奇跡も含め、気の遠くなるようなたくさんのトライ&エラーを繰り返しながら継承、発展させてきた先人達へのリスペクトが絶えません。
革作家の端くれですが、これだけ歴史のあるものに携わらせていただき、心から楽しむことができている今の環境に感謝です。
僕にできること。
目の前のお客様の心を動かせるような作品をお届けするため、先人達の知恵をお借りしながら日々学び、成長していくことが、恩返しとなるのかなと思います。
革の歴史に想いを馳せながら、これからも皆さんと共に『革のある生活』をただシンプルに楽しんでいけたら幸いです。
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ジプシーレザーワークス
福田こうじ