" 経年変化 " という嗜み
皆さんこんにちは!
ジプシーレザーワークスのこうじです!
あっという間に7月も半ばを過ぎ、ようやく梅雨明け宣言も聞こえてきましたね!
海やら川やらバーベキューやら花火やら夏休みやら、楽しいこと盛りだくさんの夏!今年はどんな思い出ができるのでしょうか。
燦々と降り注ぐ太陽と共に本格的な夏がやってきました。本日は、「太陽の光」とも深い関わりを持つ、革の ” 経年変化 ” についてお話ししていきたいと思います。
この記事をお読みになっている皆さんは、革製品を育て、経年変化を楽しまれていますでしょうか?
経年変化って何?という方にも分かりやすいように、僕も虜になったその素敵すぎる魅力をお届けします!
この記事では、
●本革最大の魅力!経年変化とは?
●経年変化のメカニズム
●美しい経年変化を進めるコツ
という内容でお届けいたします。
本革最大の魅力!経年変化とは?
皆さんは、” 経年変化 ” や ” エイジング “という言葉を耳にしたことはありますか?
革愛好家の方にとってはお馴染みのワードだと思いますが、中には、全く聞き馴染みの無い方もいらっしゃるのではないでしょうか。
僕の言葉でひとことでまとめるとするならば、『使っていくうちに良い感じに味が出てくること』という感じでしょうか。
すごくふわっとした感じですが、これがとっても奥深く、たくさんの革愛好家の皆さんを魅了する革の魅力のひとつでもあるんです。
ちなみに” 経年変化 ” も ” エイジング ” も同義語で、同じように使われています。
ネット上で” エイジング ” と検索してみたところ、以下のように記載されていました。
特に、ヒトを含む動物の場合は老化、重工業製品(特に電気製品)の場合には新品が安定動作するまで動作させることを意味する。
Wikipedia
そして” 経年変化 ” と検索してみると、このような記載が。
物質が時間とともに変化していくこと。 経年変化よりも一般的には経年劣化と呼ぶ。 単純に老朽化するということで、摩耗や腐食、変色、変形などといったことが一般的に考えられる。
Wikipedia
このふたつの言葉の説明をまとめると、使い込むうちに馴染み、変化、劣化していくこと。といった感じでしょうか。
ですが、こと革に関しましては、劣化という表現に少し違和感を覚えます。
僕個人の価値観としましては、革の経年変化は時と共に味が深まり、それにより愛着も深まる。お使いいただいているご本人の人生と時間を共にしていくなかで、どんどん価値が深まっていくもの。僕はそう思っています。
共にする時間が長いほど、味が出れば出るほど価値が上がっていくものって、本当に素敵だなと思います。
実は革という素材だけみてもたくさんの種類やブランドがあり、経年変化も様々です。革の経年変化は、種類によって
■柔らかくなっていくもの
■艶が出てくるもの
■色が濃くなっていくもの
■形が浮き出てくるもの
などがあります。皆さんの人生も十人十色であるように、革の経年変化にも、ひとつとして同じものはありません。
唯一無二の皆さんの人生と、唯一無二の革の経年変化が掛け合わせることで、まさに、世界にひとつだけの、あなただけの革小物へとどんどん価値が深まっていくのではないでしょうか。
経年変化のメカニズム
皆様は、どんな革でも経年変化するというわけではないのをご存知ですか?
革の経年変化には、革に含まれる油分や摩擦、太陽の光などが深く関係しています。
革の種類によって素材に含まれる成分や含有量が異なり、経年変化するもの、全くしないもの、経年変化がゆっくり進むものなど様々です。
革は、生きていた動物から採れる副産物です。動物から採れる皮膚は、そのまま置いていたら腐ってしまったり、固くなってしまいます。
そこで、動物の皮膚を革製品として使える革に生まれ変わらせるために「なめし」という工程があります。その工程は基本的に専門の皮革工場さんが行うのですが、皮革工場さんにもそれぞれの個性やこだわりがあり、国内の工場、海外の工場、土地柄、環境、どれだけの時間を費やすか、どんな方法でなめしを行うかなどにより、革の性質が決まってくるわけです。
経年変化をする種類としましては、植物タンニンなめしと、コンビネーションなめしの2つがあります。
その中でも今回は、経年変化を大いに楽しめる【植物タンニンなめし】という工程を踏んだ革についてお話しさせていただこうと思います。
ジプシーレザーワークスでも多くの作品に使われている植物タンニンなめしの革。簡単に言うと、植物に含まれる ” タンニン “という成分を利用して、皮の腐食を防ぐなめし方法です。
この ” タンニン ” という成分。太陽の光と反応し、色味が変わっていくという性質があり、身近なもので言うと渋柿や緑茶、コーヒーなどに含まれています。
植物タンニンなめしの工程で、じっくりたっぷりタンニンが革に染み込んでいるほど、大きな経年変化を見せてくれたりします。
僕もよく、愛用している私物のお財布やサンダルを日光浴させたりします。ただ、光の当てすぎはひび割れの原因となる場合もあるので、日光浴した後に革用のオイルで保湿してあげるという方法も良いと思います。
太陽の光による経年変化をご紹介しましたが、その他にも、いろんな要因で経年変化は進んでいきます。
時間が経つごとに、革の中に存在する油分がじわっと浮き出てきて革をコーティングしてくれるケース。
新たに革にオイルを塗布して保湿し、コーティングされるケース。
手で触れることで、手の脂でコーティングされるケース。
手で触れることで、手から伝わる体温により革の持つオイルが馴染み、経年変化するケース。
ズボンのポケットや鞄などと擦れ、表面が磨かれ経年変化するケース。
このように、使い方、ライフスタイルに応じていろんな変化をもたらしてくれるところも、オリジナリティの溢れる愛用品へと育てる楽しみへと昇華されていきます。
美しい経年変化を進めるコツ
美しい経年変化を進めるためのポイントをいくつかご紹介いたします。
まずはブラッシング。
ブラッシングは革についたホコリを落とす目的があります。
次にオイルを薄く塗って、保湿します。
あとは、日光浴、陰干し、手でたくさん触れたり、布やブラシでこすってなじませると良いと思います。
新たに下ろしたばかりのお財布などは、いちど軽く日光浴させてから使い始めるときれいに焼けやすいようです。
柔らかい革が好きな方がいらっしゃったり、かっちりとした革が好きな方がいらっしゃったりするように、経年変化ひとつとっても好みが分かれると思います。
綺麗で美しい経年変化が好きな方。
生活の中でできるシミやキズなども含めて、ワイルドな経年変化を楽しむ方。
100人いれば100通りの楽しみ方があると僕は思います。お好みの革を見つけ、アイテム選びの際のひとつの指針にしていただけると幸いです。
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気になる方はぜひ覗いてみてください。
ジプシーレザーワークス
福田こうじ